2011年12月16日金曜日

奥のふか〜い、出会い系の詐欺話

テレビで有名な辛坊治郎氏のブログにこんな話がのっていた。
詐欺のテクニックもリアリティーがあって面白いのだが、
最後の一言に現代の世相というものを考えさせられた。

駅前からタクシーを拾ったところ、運転手さんがこんな話を始めたんです。

「世の中には頭の良い奴がいるらしいねえ。インターネットの出会い系なんて、口先だけで人をだまくらかして、金を巻き上げる商売があるんだねえ。」

私は眠かったので、「ほー」とか「へー」とか適当に大声で相槌を打っていたのが気にいられたのか、だんだん運転手さんの話が熱を帯びてきたんです。で、こんなことを言い始めました。

「いや、実は、その巻き上げられたのは、俺なんだけどね。」
「はあ、何でまた?」
で、長い話が始まりました。

「いやね、ある日パソコンのメールに、『おめでとうございます、50万円当たりました。』ってメールが来たのさ。それでね、半信半疑だけど、ホントにもらえりゃうれしいなと、メールに指示されるまま登録したんだよね。そしたら、50万円くれるのは、とある奉仕団体を主宰している有閑マダムだってことで、直接メールのやり取りをする事になったのさ。で、向こうがどうしても会いたいって言うから、じゃあ会いましょうってなって、場所の打ち合わせしようとすると、『ポイントが足りません』てなるのよ。メールのやり取り一回に付き200円要るんだね。今は便利だよね。コンビニで簡単に送金できるの。ちゃんと領収書だって出るんだよ。で、近くのコンビニに駆け込んでまた家に帰ってパソコンでメールのやり取りすんのよ。世の中には、お金払ってでもやりてえ女が居るんだなって感心して、かあちゃんに見つからないように、夜中にこっそりメールのやり取りすんの、凄い興奮したな。相手は、呉服問屋もやっててお金はいくらでもあるらしいんだ。俺は60歳のしがないタクシー運転手だけど、それでもいいかって聞いたら、それでいいっての。で、こっちも仕
事があっから、向こうの指定する待ち合わせ場所に夜中に家抜け出して行くわけにも行かねえし、あれやこれやで一週間くらいメールのやり取りして、使った金が一万八千円。いつも、あとちょっとで待ち合わせという時に、ポイントが切れるんだよね。で、もうやめようと思うと、『50万円じゃなくて、350万円くれる』って言うんだよ。それも、350万円用意した証拠の札束の写真迄送ってくれるの。おかしいなとは思ったけど、もしかしたらホントかもと思うとやめられなかったんだよね。で、いつも向こうが指定する場所に行って
も、場所が分からなくて会えなかったから、こっちが知ってる場所指定したんだよね。絶対間違えようがない場所をさあ。そんでね、夜中に出かけて行って三時間待ったんだけど、結局誰も現れねーの。で気が付いたんだよね。もしかしてこれって詐欺じゃねえのかって。お客さん。気を付けた方がいいよ。50万なんか、誰もタダでくんねえよ。でもねえ、一週間楽しかったなあ。着物の似合う三十代の淫乱女が、お金までくれて、やらしてくれるなんて、夢みてーな話だよね。」

私、口では「ほう、そうですか」と相槌打ち続けたんですが、正直「60にもなって、この手に騙されるかあ?」と思いながら聞いてました。でも、60歳の初老の男性でも騙されるなら、やりたい盛りでお金がなく、さらに自分が若くて精力にだけは自信があるなんていう20代、30代の男性ならイチコロかもしれないなって思ったんです。まあ、それにしても「このおっさんアホかしら」と思いながら聞いていたんですが、おじさん、最後にドキッとすることを言ったんです。

「いやね、ほんとにいい夢見せてもらったって感謝してるよ。パチンコで10万スル事思えば安いもんじゃない。それにしても政治もおんなじだよね。『年金増額します。高速道路はタダにします。子供手当くれます。税金は上げません。』あの政権交代の時の公約は、出会い系の手口と同じだったんだって気が付いたんだよ。みんな、いい夢見せてもらってありがとうって感謝しなくちゃね。」

運転手さん、さっき馬鹿にしてごめんなさい。慧眼に脱帽です。言いたかったのは、この話だったんですね。

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